「ボクがギターをはじめるまで」の話 3
「ボクがギターをはじめるまで」の話 1
「ボクがギターをはじめるまで」の話 2
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前回までのあらすじ (パソコンが壊れたため超久しぶりの更新)
エレキギターを買うためにお小遣いを貯めてはマンガを買う日々を過ごしていた。(?)
遅刻寸前のある朝、ゴミ捨て場にクラシックギターを見つける。
このままではいつまでたってもギターを買えない……。
捨てられたギターを持ち帰るべきか悩んだ末に、ボクは――。
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「人目も気になるし、そもそもゴミを持って帰っちゃダメだ! 諦めて、早く学校に向かおう!!」
ボクは、再びウサイン・ボルトのランニングフォームで学校に向かった。
欲しいものが手に入る寸前だったのに――。
後悔と葛藤を置き去りにするかのように、全力で走る。走った。
……学校に着いた。
無事、遅刻はせずに済んだ。むしろ数分、余裕があるくらいだ。
――あれ? あ の ギ タ ー 持 っ て 帰 れ た ん じ ゃ な い ?
そう考えると、……ああああああああもったいない気がするぅぅぅぅうううう!!! 千載一遇のチャンスじゃん!!!!
ゴミ捨て場でギター拾うとかマンガみたいなこと滅多にないじゃぁぁあああんん!!!! 別にちょっとくらい遅刻したってよかったじゃぁあああん! よくはないけど! よくはないけども!! くぁwせdrftgyふじこlp(←これ久しぶりにタイプしたな)
――悶々とした時間を学校で過ごし、下校時間。
淡い期待があった。
――まだ、あのギターがゴミ捨て場にあるかもしれない……。
あのギターはゴミ袋の山にポン、と置かれているだけだった。
ゴミ捨て場で、警告シールが貼られて残されたままにされているルール違反ゴミをたまに見かけることがある。
ギターは何のゴミに分別されるのだろう。あのギターも収集業者に回収されず、まだゴミ捨て場にあるかもしれない。そう、考えていた。
もしまだあれば、持って帰る。そう、決めていた。
まだ、チャンスはある。
帰宅途中、あのゴミ捨て場が見えてきた。塀で囲われていて、ここからはまだ中の様子が見えない。
少し、心拍数が上がるのを感じる。
なぜか、ゆっくりと慎重に近づいた。
――ない。
ゴミ捨て場に、ギターは、なかった。
あぁ、ないなぁ。まぁ、そうだよな。
家に着くと妙に静かな気持ちで、玄関のドアを開けた。
「ただいま」
これまで通りじゃないか。まだ、ギターは買えない。何も変わっていない。だからこそ、何も気にすることはない。そう自分に言い聞かせる。
???????wwwww
リビングに、あのギターがいた。
なwwんwwwでwwwwあwwるwwのwwwwww
ワイ「ゴミ捨て場にあったギターがなんでここにあるのwwww」
ママ「じいちゃんが拾ってきたよ」
ワイ「ファーwwwwww」
説明しよう! じいちゃんは戦争を経験した高齢者である!
戦後の何もない時代に苦労したことだろう……。
そのためか、ゴミであろうと使えそうなものは拾っちゃうスタイルなのだ!!
ありがとう! じいちゃん!!
こうしてボクは、ギター(クラシックギター)を手に入れた。
手に取ってみると――想像より軽い。
少し汚れている。タバコだろうか、妙な匂いもする。
穴から中をのぞくと大きなホコリが見えた。
それに、弦が一本切れている。
まずは、弦を張らないと。
弦ならボクの小遣いでも買えそうだ。他には何が必要なんだろう。
喜びと期待に胸をふくらませながら、そう、思った。
つづく(かもしれない)